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「だーかーらー。
自分の人生に絶望して死ぬなよっ!って言ってんの!」
「死ぬわけないでしょ。
何でそんな話しになっちゃうわけ?君やっぱアホ?」
「いや~君も色々事情があるんだねぇ。
まぁお互い頑張ろうや!」
「お互い…?何?君も何かあるわけ?」
怪訝そうに杏奈に質問する楓。
しかし杏奈はその質問に答える事はなかった。
「内緒っ!」
「はぁ?何……!」
突然、バッとカツラを被り表情を変えた楓。
「え?え?」
状況が読み込めない杏奈だったがすぐ理由が分かった。
向こうから人がやってきたのだ
しかも大人数。
「…あ!か、楓様っ!」
「ご機嫌よう、皆さん。」
ガラッと雰囲気が変わった。しかも声も高くなっている。
「何をなさっていたんですか?その方は…?」
楓に礼儀正しく接する団体さん達は杏奈を見た。
「転校生です。道に迷っていたようなので声をかけていたんですよ。」
にっこり笑う楓。
その笑みに色めき立つ集団。
「さ、さすが楓様っ!お優しいわ!」
「楓様っ!」
楓に群がる集団。
一方杏奈は蚊帳の外で呆然としていたがすぐにハッと我に返った。
「…この学園でやっていけるかなぁ?ま、なるようになるか!うん!
楓ー!ありがとね!また後で!」
集団の中心に向かって叫ぶとそのまま返事も聞かずダッシュで何処かへ走っていった。
「何ですの?あの方…。」
「はしたない…走ってましたわ
しかも楓様を呼び捨てだなんて信じられません。」
どよめく集団だが楓はただ杏奈の走って行った後を見ていた。
「…何であんなに喋っちゃったんだろ。」
「何か言いました?楓様。」
「いいえ、何でもないわ。
さぁそろそろ行きましょう、授業が始まってしまいます。」
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