はじまりの歌

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ーでも、内心はちょっとわくわくしていました だって、ずーっとここで暮らしていましたけど、人間なんて見たことがないんですから こんな事を思うのは不謹慎かも知れませんがー この森にいるすべての生き物たちは、人間の手によって身も心も傷つけられました 生まれ育った場所を追い出され、 美しい容姿目当てに捕えられ、 その強大な力欲しさに虐げられ、 親兄弟と引き離されたその傷み… 傷を癒し、心を癒してきたのはエアロガでした 彼女の中にはルールがあります "人間の手によって傷ついた生き物を導き、癒す それがどんな生き物だとしても" そのルールに従えば、人間もその内に入れられます ですが、人間を受け入れることによって この森の生き物達の心が離れていってしまうでしょう ーわくわくしながらも、エアロガの中では慎重にこの問題に対する解決策を考えていました 「それで、どこにいたの?」 もう一度聞きました すると、アローは恐ろしいものを目の前にしたような声で言いました 「は…白竜さまの湖の前だよ…」 げっ と思わず口を揃えて一人と一頭は言いました
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