61人が本棚に入れています
本棚に追加
数日間、俺はアジトを拠点としてこの街を歩き回った。
まずは、自分がこれから生活する街の地理を頭にたたき込んでおきたかったからだ。
いざというときに、アジトまでの最短ルートをすぐに思い出せないと致命的だ。
歩き回り俺は二つ学んだことがあった。
一つは、人間がぞろぞろと群れをなして歩き回る広場に出ると間違いなくケガをするということ。
この数日でも、何度となく人間に追い回された。
俺たちは野良猫と呼ばれるようだが、特にこの毛色は格好の的になるようだ。
人間が集まる場所にむやみに近づいてはいけない。
もう一つは、人間が乗り込んでいる巨大な物の危険性だ。
ものすごいスピードで走り、耳が壊れそうなくらい大きなうなり声をあげている。
あれにぶつかったらイチコロだ。
俺は大きな通りを挟んだ向こう側の街には、どう頑張っても行けそうにないことを悟った。
最初のコメントを投稿しよう!