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『J、余計なことは言わなくていいんだ。』
ギンがJを両の眼でするどくにらみつけた。
ギンのこんな表情を初めて見た俺は、思わず足がすくんで動けなくなった。
『ギンさんは…俺をかばって、後ろ足二本もう使いものにならなくなっちまったんだ。』
Jの眼からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。
そうか、出かけたくても動くことができなかったのか…。
俺はまずいことを聞いてしまったと、自分の愚かさを悔やんだ。
『ハル、見せたいものがある。ついてきな。』
Jは俺にそう言い、またアジトの外へと出ていった。
俺は、静かに眼を閉じているギンに頭を下げ、Jのあとを追った。
俺とJは二十分ほど歩いた。
その間会話は一切無かった。
Jはどこに自分を連れていこうとしているのだろう…?きっと、ギンのことと何か関係があるのだと思い、俺はあえて声をかけなかった。
しばらくすると、
あの巨大な猛スピードで走る物がいくつも止まっている場所へとたどり着いた。
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