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気がつくと、
いや正確には自分がどこで何をしているのかを認識できるようになると、俺は…
薄暗い路地に捨てられていた。
ふと開いたばかりの眼で周りを見ると、
真っ黒な毛を持つ子猫が二匹、同じ箱の中にいる。
その体は微動だにせず、
わずかな呼吸すら感じられない。
ふと、自分の足に眼を向ける。
同じじゃないか。
一つのブチもない漆黒の足。
一つおかしなことに気付く。
やけに視界が狭い…
片眼が開かない。
それでも不自由に感じはしなかった。
俺はまだ動くことができる。
冷たくなっている二匹は、おそらく兄弟だったのだろう。
産まれて間もなく何者かによって、俺たちは捨てられた。
ただ、それだけのことだ。
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