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自分の生を感じた瞬間、
ひどく喉が渇いた。
冷たくなってしまった兄弟の体に前足を置き、箱の外に出る。
暗い。
明かりらしき物が何も無い路地。
こんなところに俺たちのような黒猫を捨てれば、それは誰の眼にもつかないだろう。
俺たちを捨てた者は嫌味なくらい賢いに違いない。
しばらく歩くと路地から広い通りに出ることができた。
街の明るい光が開いている俺の右目を刺激する。
思ったほど肌寒くはない。
初めて眼にする大きな二本の足で歩く者たちも、
肌を露出した格好をしている。
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