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朝を迎え、俺はまだひっそりと静まりかえる街のガラスで自分の姿を知った。
つぶれた片眼、
漆黒に包まれた体。
この毛色がもし純白ならば、
自分は捨てられる運命ではなかったのだろうか…?
そんな考えはくだらなすぎてすぐにやめた。
この街はとにかく大きな者がたくさん存在している。
ひっそりとしていた静けさはやがて大勢の足音で、けたたましい喧騒に変わった。
『よう。』
声のする方を見ると、自分と同じ種族がいた。
俺とは違い毛は茶色、
両の眼は開いてはいるが、
体の至るところに傷がある。
俺にとって、あの大きな者以外との初めての出会いだった。
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