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『Jさん、さっき言ってた人間って何?』
そう聞いた俺の顔を、Jは哀しげな眼で見つめた。
『俺たちを捨てた、あの大きな者たちをそう呼ぶのさ。』
そうか、あいつらは人間と呼ばれる生きものなのか。
『そして、皮肉なことに俺たちはその人間無くしては生き抜くことはできないんだ。』
どういう意味なのか。
そのときには俺は、
Jの言っていることが今一つ理解できなかった。
『さて、ハルよ。お前に俺たちのアジトを見せてやるから一緒についてこいよ。』
そう言うと、Jは塀に開いている穴の中へと入っていった。
俺は右も左もわからないこの世界を教えてもらえる期待と、
集団の中に身を置くことになるかもしれない不安を感じながら、
ゆっくりとJの後を追った。
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