12月31日

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  「何か言いたい事でも?」 「いや、寂しかったなんて今まで言われた事なかったから嬉しくてさ」 翔太郎が口角をあげる。 「寂しい?僕が?」 「違ったか?」 「分からない。ただ翔太郎がいなくて心がスカスカした。君と一緒にいるのが当たり前になりすぎて、1人の過ごし方を忘れただけだ」 「お前…よくそんな事平然とした顔で言い切れるな~…」 翔太郎がすっと立ち上がり、救急箱を返しに行った。 翔太郎の耳が何故か真っ赤になっていた。 「狭い…」 「まぁまぁたまにはいいだろ暖かいし」 夜ご飯も風呂も済ませ、事務所のベットに寝転んでいたら、翔太郎も入ってきた。 「やっぱり風呂あがりのフィリップは暖かくていいな」 「誰だって風呂上がりは暖かい」 翔太郎はぎゅうっと僕を正面から抱きしめる。 するとどこから鐘の音が聞こえてきた。 若菜姫姫のラジオで言っていた。 12時までに寺で人間の持っている108の悩みを除去する意を込め、108回鐘をつくのだと。 「翔太郎」 「除夜の鐘が聞こえるな」 「うん」 「次目開けたらもう新しい年だな」 「翔太郎」 「うん?」 「お休み」 「ああ、お休み」 「翔太郎」 「ん?」 「次に僕が目を開けた時、一番に映る物が君であって、感じる温もりがある事をお願いするよ」 「…だからそう言う事を突然言うなって」 翔太郎の胸の中にいたせいで顔は見えなかったが、急に早まった心臓の音が面白くて少し笑みがこぼれた。 そしてそのまま静かに目を閉じた。 END  
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