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昔のこいつはこんな無防備ではなかった。
夜でさえもこいつは俺に寝ている姿をさらす事はなかった。
地下のソファーでなく事務所のベットで眠るようになったのもつい最近の話だ。
『どこの誰にいつやられるか分からない。だから、人前では眠らないんだ』
そう言ったあいつの言葉とそれが当たり前と言わんばかりの顔は今でも忘れられない。
だから今こうやってフィリップの寝顔が見られるようになったのは実はかなり嬉しかったりする。
俺はもう一口コーヒーを飲んでからベットに腰かけた。
フィリップの足元にあるタオルケットを肩の所までかけてやり、怪我をするといけないので髪をとめてあるクリップを外し本の上に置いた。
「お休み、フィリップ」
サラサラの長い前髪を耳にかけて、柔らかいほっぺに軽くキスをした。
俺はデスクに戻りコーヒーをもう一口含み、昨日解決した事件の報告書を作成した。
暖かい日差しが柔らかく入り込む、静かな昼下がり。
フィリップの寝顔を見ながら久し振りの穏やかな時間に新しく淹れたコーヒーの香りとともに楽しんだ。
END
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