12月31日

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  翔太郎が買い物に行ってから早2時間。 今日は色々なスーパーでセールをやっているから買いだめしてくる、と翔太郎は目を輝かしていたから、きっと夕方まで帰って来ないだろう。 今は世間で言う大晦日と言う物で若菜姫のラジオも休み、依頼者もいない、亜樹ちゃんもいない静かな静かな探偵事務所のお留守番をする僕。 いつものように本を読んでいたのに、何故かいつもよりつまらなくて途中で止めた。 事務所のベットにダイブして主のいないデスクを見た。 こんな時あいつがいたら――。 きっと新しい検索対象を探してくれるのに。 僕の話を聞いてすごいなって頭撫でてくれるのに。 何故かいつも3時に甘味を出してくれるのに。 最近の僕はどうかしてる。 自分以外を信じない頼らないで生きてきたのに、どうしてこんなにも翔太郎がいないだけで心がスカスカするんだろう。 あの夜、ビギンズナイトで助けられて以来翔太郎はいつも側にいてくれた。 初めは鬱陶しく思っていたはずなのに。 「早く帰ってこないかな…翔太郎…」 小さな声で呟いたつもりなのに、やけに大きく聞こえた。  
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