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「いや~大量だったぜ~」
翔太郎が両手にたくさんの袋をぶら下げて帰ってきた。
僕は反射的に顔をあげ、袋を置いたのを確認すると、素足のまま駆け出し部屋に入ってきた男の背中に飛びついた。
「ど、どうしたフィリップ!?」
翔太郎が間抜けな声をあげる。
「分からない」
「は?」
「僕にも分からない。けど…」
「……そうかよ」
自分でも何で翔太郎に飛び付いたのかは分からない。
けど何故かこうしたかったんだ。
翔太郎は何も言わずポンポンと腰の辺りをたたいてくれて、スカスカだった心に、ゆっくりと暖かい物が流れ込んできた。
「ったく…なんでベットの上にしかいないのに怪我をするんだか…」
翔太郎が盛大なため息と共に救急箱を持ってきてくれた。
僕が離れて、翔太郎が僕の顔を見た時、目玉が飛び出るんじゃないかと思う位彼は目を見開いていた。
「ほら、目閉じろ」
「ん」
言われた様に素直に目を閉じた。
「あーあーこんな所に傷作って…」
「…っ!」
「もう少しの我慢だ。…よし、目開けていいぞ」
「あっ…」
目をあけると鼻と鼻が触れそうな所に翔太郎の顔があった。
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