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指差された方角には手合せなどをするためのリングが3つ程作られていて、そこの1つを現在2人が利用している。
彼はそこを指していたのだ。
「…もしかして、あそこで戦っているヒト?」
「そうだよ」
まさかの答えに舜は呆然とする。
使者だと聞いていたので客人は政官だと思い込み、訓練場の見学でもしていると決めつけて端の方ばかりを見ていたのだから気付くはずがない。
正直言って、客人が戦っていると誰が想像できるのだろうか。
そんな様子の彼を見て、朱雀はクスッと笑う。
「想像もしてなかった?」
「…うん。ってか、分かる筈がないじゃん!」
「その感じだとお客さんの見た目すら伝えてもらってないんだ。まぁ、僕達からすれば容姿や気配が違うから、すぐ分かるって思ったんだろうね」
「う~…、きちんと聞き返せばよかった。でも、朱雀がいてくれて助かったよ。ありがとう」
「いえいえ。ほら、行こうか」
朱雀に促され、舜はリングへと向かう。
良く見てみれば戦っている片方は8番隊隊長の宗菊だと気付き、もう片方に目を向ける。
そちらも男性で気配は分からないが、確かに容姿が違う事は分かる。
竜達は仮の姿であるからこそ人間側から見ても人間との違いがほぼないと言ってもいい。
しかし、目の前の男性は漫画やゲームなどで見られるエルフ耳のような長い耳を持ち、尾?骨付近からは髪と同様の色合いである明るい茶色の尾らしき物体が垂れている。
竜ではないのかと思う半面、人間でもないと予想する。
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