彩恋花-サイレンカ-

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その時、1人の男子が教室に入ってきた。 ボクは、視線をみぃちゃんからその男子に移してしばらく見ていた。 その男子とは、さっき廊下でぶつかってしまった人。 一緒のクラスだったんだ……。 「あ、速水くん! おはよー。また一緒のクラスだね!」 教室で話をしていた1人の女の子が、彼に近付いて話し掛けた。 そのコはウェーブのかかった赤い髪をしていて、笑顔が凄く素敵。そして、極めつけは「超」が付くほど短いスカート。 その特徴をまとめると『私、今を生きてます!』みたいな女の子だ。 ……意味分かんないよね、えへへ。 「あ、平野さん。また今年もよろしく!」 「よろしく~。あ、そだ速水くん……」 「あー、あの件ね……」 2人の会話だけが耳に入ってくる。 ──名前、『速水』って言うんだ……。 下の名前、何だろう……? 去年も、あの人と一緒とのクラスだったみたいだけど、仲良いのかな……。 「…どうしたの? さっきからボーッとしちゃって」 みぃちゃんの声でボクはまた再び考え込んでいたことに気付く。 「べ、別に何でもない、よ」 ……とは言ってみたけど、やっぱり今日のボクは何か変だ。
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