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いつもの帰り道である商店街をいつものようにみぃちゃんと歩く。
ボク達の住んでる街はあまり都会ではなく、どちらかというと田舎に近い方だ。
でも、最近になって大きなデパートが出来て少しづつ街は変わってきた。
女子高生として嬉しい限りだが、この商店街のことを思うとちょっと寂しい。
たった1つのデパートで何十件も束になっている商店街の存在が薄れてしまうからだ。
ボクもみぃちゃんもこの街の、この商店街のもので今まで過ごして来たようなものだ。
──速水くんはどうなんだろ……。
不意にそんなことを考えてしまった。
何故かはボクにも解らない。
「……ねぇ、みぃちゃん?」
「どうしたの?」
「『速水くん』って知ってる? 同じクラスになったんだけど……」
なんでこんなことをみぃちゃんに聞いたんだろ? 自分でもよく解らなかった。
「……しらないなぁ。彩未、もしかして……恋、しちゃった感じ!?」
「ちちち違うよ! 知らない顔だったから気になってただけ。なに言ってんだよもぅ!」
ボクはもう同様を隠せなかった。でも別に恋をしている訳ではない。ただ少し、気になるだけ。
「にゃはは! 彩未は可愛いなぁ……」
「……嫌味にしか聞こえないよ!」
鏡を見て言え! モデル体型美人顔!
「そんなことないよ、本当に。自分が気付いてないだけ」
「あぅ……」
普段、誉められ慣れていないボクは顔を真っ赤にして下を向いた。
……この街に幸あれ。
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