彩恋花-サイレンカ-

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教室に入ると知らない生徒がいっぱいだった。 ……まぁ当たり前だけど。 ボクの席は窓側の教卓から一番遠い所。そして、偶然にもその前がみぃちゃんの席だ。 ボクたちは席に着いて、しばらくみぃちゃんとさっきの話の続きをしていた。 笑ってるみぃちゃんの顔は、女のボクから見てもやっぱり可愛い。 事実、相当モテる。 「ねぇ、彩未さぁ……」 みぃちゃんは片肘をボクの机に置き、頬杖をしながらボクを見る。 「ん?」 「いい加減さぁ恋、とかしないわけ? もう高2だけど」 その2文字にボクは思ったより動揺してしまった。 「ふぇ!? 何よ、きゅ、急にさ!」 ……そう、ボクは今まで生きてきて『恋』というモノをしたことがない。 年齢=彼氏がいない、ということが言いたいわけではない。 人を好きになったことがないのだ。 『恋』をすると具体的に自分がどうなるのかもよくわからないし。 原因は多分、人より他人に対し関心が薄いからだと思う。 誤魔化しているように聞こえてしまうが、本当にない、のだ。 だから初恋もまだ。ファーストキスも勿論まだ。 もちろん…… 「おーい、還ってこーい」 目の前でみぃちゃんが右手を振っているのにようやく気が付いた。 「はっ!? ボク今……」 ボクはアツくなって真っ赤になった頬を両手で押さえる。 「どうしたの? まぁいいや、彩未ももう16なんだから早めに処女膜破って貰いなさいよ」 淡々というみぃちゃんの声が遠く聞こえた。 「しょ……?」 ボクはまだウブなんでそんなこと言われても解りませんえへへ。
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