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西城 智美。周りからはよく智美と呼ばれているらしい。性別は女。自分勝手。黒髪のロングヘアー。ツンデレ(ただし、個人的な意見)。
簡単に説明するとこうなる。
何が言いたいのかというと、つまりお嬢さまのような奴なのだ。いっそ、『お嬢』とでも呼んでやろうか。
でもなぜそんな奴と……。
などと思うかも知れないが、説明はまた今度。
そんなことよりトイレ行きたい。
さっそく家に入ろうとしたが、
「今から着替えるからまだ入らないで」
と言われ、再び一人寂しく外で待機。
また時間が空いたから、続きを話そう。我慢の限界まで。
――彼女、西城智美は家族でもない。親戚というわけでもない。
偶然に偶然が重なり合って、約一年前に俺らは出会った。俺にとっちゃ、有難迷惑なのだが。
それからなぜか、いつのまにか俺の家に同居することになり現在に致る。
誘拐?
いや違う。向こうから言い出したのだ。
『今日から家にお邪魔させてもらいます』
とかなんとか言って。
俺に有無を言わさせないほど強引だった――
「入ってもいいわよ」
という声が家の中から聞こえた。とりあえず話はここまで。
ようやく入れることに安心した俺は急いで中に入り、直接トイレへと向かう。
トイレを済ませ、狭いリビングへと足を運ぶ。
リビングには巨大な段ボールが対角線上に固定されて立っている。
高さは俺がジャンプしても反対側が見えないほどで、天井まで数センチ。
対角線の奥には移動が可能な僅かなスペース。
しかし、そこは俺にとったら完全立入禁止区域なのだ。入っていいのは、智美とアイツだけ。
よくもこんなものを作れたものだ。完成までおよそ二、三週間の時間を費やした。
もちろん、指示するのは智美で、作業は俺だけ。
俺の家なのに、主導権は完全に智美。
なんという有様だ。
どうして、こうなってしまったのだろう。
いつから、どのような状況でこうなったのかは覚えちゃいない。
作業内容も、どこから段ボールを持ってきて、どのように組み立てたのかも覚えちゃいない。
唯一覚えているのは、作業中にたまたま見えた風呂上がりの智美の裸体のみ。
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