§第一章~出逢い~

2/12
前へ
/20ページ
次へ
ここは今よりずぅっと遠い昔。美しい森、そして美しい湖。人工的ではない自然が溢れる。そんな素敵な場所にミュルノはある。 このミュルノという国は自然と共存することを第一とし、ほぼ機械的なものを使わない。小国ではあるが、そんなに美しい場所のせいか町は活気に溢れている。 この国の姫君は他の国の姫と比べても引けをとらない。それはそれは美しい。透き通るような白い肌、美しい黒髪は腰の辺りまでのびていて、瞳は覗けば吸い込まれそうなほど美しく澄んでいる。ほのかに色付くほほと唇。絵に描いたような美しい姫だ。しかし……。 その日、ミュルノ城は大変な騒ぎになっていた。 「大変だ‼また姫さまが逃走したぞ‼‼」城の兵士が叫んだ。「申し訳ありません‼先程まで居られたのですが💦💦」王の間では、姫の側近の騎士が王に姫の逃走を知らせていた。「…またか…。今月に入って何回目だ…?」もうかなりの歳であるが歳を感じさせないがっちりとした体つきをした王がその普段は威厳たっぷりの顔を歪めため息を吐いた。「もう10回は逃げられてますわ😃」王の隣に微笑む美しい王妃が穏やかな表情を変えずに言う。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加