124人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
ドタバタが落ち着いた頃。
ハヤテのところにある男が近づいてきていた…。
「ハヤテ。」
「はい、お嬢さま。」
ハヤテは、いつも通り、ナギの世話をしていた。
「ハヤテは、もう、ぜ、絶対にここからいなくなってしまわないんだよな。」
「はい。」
ナギの聞いたことに、少し疑問を持ちながらも、そうやって、ハヤテは答えた。
しかし、ナギには何かを感じていたらしい。
それは、ナギ以外にも、伊澄(いすみ)も感じていた。
伊澄はハヤテのことを心配した。
そして、ついに、その時がきてしまった。
ガッシャン。
何か、ガラスが割れる音とともに、館内が暗くなった。
「いったい、どうしたんでしょうか。」
マリアがそういった瞬間、目の前に矢が刺さっていることに気づいた。
「ひゃー。」
悲鳴を聞きつけたハヤテがマリアのところに向かった。
「大丈夫ですか。」
ちょうど、駆けつけたときには、何故か電気が復旧していた。「ええ、でも、それ…」
マリアが指差した先には矢が刺さってた。
三千院家の警備は厳しいはずなのに、なぜこの矢はこんなところに刺さっているのだろうか、そして、一体誰がやったのであろうか。
「あっ、矢の中央に紙がくくりつけてありますわ。」
「本当ですね。開いてみましょうか」ハヤテが手紙を開くと、そこには、ディナーの招待が書いてあった。
しかし、そこには、執事とご主人様限定で、その他の警護の入場は禁止と書いてあったのだ。「ちょっと、これは、怪しいですね…」
ハヤテがマリアにそう言ったときに、丁度、ナギが部屋に入ってきた。ナギは状況が読み込めず、ただ、ハヤテと2人っきりでディナーに誘われたということだけに目がくらんだ。
「ハヤテ、それはいつなんだ」
そういうナギに
「いや、明日と書いてあるんですが、いかにも、この状況で来たってことは、何か、お嬢様を狙ってるとしか…」
ハヤテがそう言ったのを遮るように、ナギは、
「それ、行くぞ!」
と行く気満々になってしまっていた。
マリアも、心配して、ナギに言った。
「でも、ナギ、もしかすると、もしかしなくても、罠であるかも知れないんですよ。」
しかし、ナギは、
「大丈夫、今まで、ハヤテが何度も、苦労を乗り越えて、私を守ってくれたではないか。」
と引かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!