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直樹は二階に上がり、部屋に入ると、ベットに倒れ込んだ。
視界に入る壁には、幼い頃に書いた下手くそな絵や、書き初めが今だに飾られている。
…
壁に飾られた直樹が書いた絵は、昔流行ったヒーローが、髭の生えた男をやっつけている絵だった。
あの糞野郎まだ生きてんのか？
この絵に描かれた髭の生えた男は、直樹が幼い頃よく公園に来ていて、直樹が心底憎んでいた男だ。
うるさい！うるさい！とちょっかいを出してきては、泣かされる子供も、少なくはなかった。
男は直樹達が成長するにつれ、姿を見せなくなった。
後に、恵美がこの男に服を脱がされそうになったと聞いた時、直樹は幼かった自分を憎み、毎日公園に通ったが、会う事はなかった。
もし今こいつに会ったら…
俺はどうするんだ…？
直樹は書き初めで昔自分が書いた、[正義]と言う言葉を、しばらく眺め、また眠りにおちていった。
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