恋のはじまり

2/2
前へ
/10ページ
次へ
「起立ー、礼ー。」 けだるい号令にダラダラと礼をする生徒たち。 心底嫌そうに授業を受けようとしている。 俺だって嫌だよ、バカどもが。 そう思うけど顔にも態度にも一切出さない。 俺は教師だから。 教科書を開かせ、喋り始める。大抵の生徒が私語をしているか、寝てるか、内職している。 だりィなぁ…。 そう思いながら教室を見渡すと、一番後ろの席で必死に俺の話を聞いている生徒がいた。 短髪で、精悍な顔をしている。その上、とても姿勢がいい。武道でもやっているのか。 やべェと思ったが止められなかった。 もろタイプだ…。 そのまま夢心地で授業が終わった。 「先生、分からないところがあったので放課後聞きに行ってもいいですか?」 そう言ったのは、あの少年。 「…ああ、もちろん。」 これは偶然か、それとも――。 END
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加