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『しまった・・・。』
僕は窓をみて思わず呟いた。
窓の向こうは土砂降りの雨だった。
今日、天気予報では晴れだったのに。
『しかも今日に限って折りたたみ傘持ってきてないんだよなー・・・』
途方もなく立ち尽くす僕だった。
『・・・あの』
『・・・・ん?あぁ。川村さん、まだ残ってたんだ。』
川村さんは僕のクラスメートの女子だ。
目立たない大人しい女の子だ。
『で?僕になんか用あった?』
『あっ・・・。そのぉ・・・』
しまった。
余りにも素っ気なさ過ぎたか。
川村さん、びびっちゃったかな?
『あの、もっもしよければだけど・・・』
おずおず渡してきたのは黄色い傘。
『わっ私、もう一本傘あるから・・・。よければ・・・どうぞ』
『いいの?貸してもらっても?』
僕が確認すると川村さんは真っ赤になりながら頷いた。
『ありがとう、川村さん』
『ううん。どういたしまして』
『じゃあ、有り難く借りてくね』
僕は川村さんから傘を借りて学校からでた。
雨も捨て難い。
だって、好きな女の子から傘を借りれたから感謝せざるえないだろう。
傘返すのを口実に、告白しようかな。
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