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「佐伯先生、住所教えて下さーい!」
「あ、ずるい!せんせー私にもー!」
ホームルームが終わると、女子が口々に言いながら担任の教師を取り囲んだ。
いつも通りきっちりと着た白衣に、銀縁眼鏡、ただ、眼鏡の奥の瞳には、明らかに面倒だと思っているのが窺える。
いい気味だと、詩織は自分の席で頬杖をつきながらほくそ笑んだ。
……たまには先生の困り顔を見るのも、悪くない。
……いつもいつも、自分をからかって意地の悪い笑みを浮かべているような人なのだから。
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