実験レポート1

2/13
前へ
/92ページ
次へ
 机の上には、くしゃくしゃに丸められた紙の入ったシャーレが置かれている。  慣れた手つきでマッチを擦って火を点けると、それを紙に近付けた。次の瞬間、紙は、ぼんっ、と音をたてて、一瞬火が付いたかと思うとたちまち消えてなくなってしまう。 「あ、すごい!なくなっちゃった。さっきのって、紙が爆発しましたよね!?」 「これはニトロセルロース。純度がそんなに高くないからこの程度だけど」  そう言うと、佐伯先生はマッチを水の入った瓶の中に捨てる。 「化学の実験って爆発のイメージがありますけど」 「……ああ、そういえば大学の同期にやらかした奴がいたかな。幸い軽い怪我で済んだけど。……ただ、僕としては、君のいる所で危険な薬品は扱いたくないね。君に実験をやらせるなんて以っての外だ」 .
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加