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周りの目があるせいか、一言も話さない佐伯先生の後ろを詩織も無言で追いかけて、着いたところは化学準備室。
佐伯先生が『危険。生徒の無断立入禁止』の貼り紙がしてあるドアを無造作に開けると、詩織も続いた。彼は、薬品棚の横を通って自分の椅子に座ると、使っていない椅子の方に座るよう詩織を促す。
「……あの、先生……?」
「ああ、紅茶でも淹れようか」
「え、あ、ありがとうございます……」
何か変だな、と思いつつ詩織がおとなしく待っていると、しばらくして机の上に湯気の立つティーカップが置かれた。
「砂糖は二つ?」
「はい。……って、先生なんで私が砂糖どれだけいれるかまで知ってるんですか?」
「甘いものが好きだったからね。君は」
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