お姫様の哀れな下僕

8/14
12862人が本棚に入れています
本棚に追加
/448ページ
いい加減俺もこの颯さんというキャラにも飽きてきたし、ここらで炎夏を説得するのに加勢しとこう。 春馬『なぁ、この人刑事なんだしとりあえず頼りにしてもいいんじゃないか?』 と俺があくまで中立の意見として炎夏に言うと、炎夏はそのジト目を俺にも向ける。 炎夏『口だけなら誰でも波動拳撃てるわよ。』 春馬『いや…お前の颯さん信頼して無さスッゲェのな。』 ちょっとぐらい颯さんの言葉信じてあげなよ。 もはやお手上げ状態のなか、颯さんは「やれやれ…」と言わんばかりに頭を掻く。 颯『分かりました。なら俺の実力をその目で見てください。』 そう言い、颯さんは無駄に凛々しい瞳を炎夏に向けた。 それを聞いた炎夏は少しリアクションに困っていたが…。 炎夏『いいわよ。アンタに"パパの期待"に応えれるほどの器があったんなら、私も認めたげる。』 鼻で笑うようにそう言い、なんかよくわからない流れを二人で作ってしまっていた。 何これ?実力証明するって、まさか二人でLet's バトルですか? 勘弁してよ、そんな展開になったら俺全力疾走でこの街から逃げ出すよ? 炎夏『じゃ、犬の実力見せてもらおうじゃない。』 と言い、炎夏は何故か俺の肩を叩く。 その動作の意味が分からず俺は首を傾げる。 炎夏『コイツに勝ったらちょっとはアンタを認めたげる。』 春馬『…え?俺?』 ちょっと待てちょっと待て、何これ何で春馬VS颯みたいな空気になってんの? 颯『えええぇぇっ!?桜井財閥の御曹司とぉ!?無理ですってば!?』 春馬『俺も嫌です。』 そりゃ護身術はもう体育の授業ばりにやらされたけど、こんな謎のファイトするようなキャラじゃないのでノーサンキューです。 炎夏『じゃあ他に誰がいるのよ?』 春馬『そう言われても…あ。』 閃いたと言わんばかりに俺は手を叩くのだった。 数分後、呼び出してすぐ参上した有能鬼畜執事が俺達の前に現れる。 フェロー『お話は理解致しました。その役目、私が努めさせていただきます。』 今日もご指導の為に俺の下へ来たフェローチェに颯さんとバトっていただくことに。 フェローチェは普通に了承し、俺に一礼。 颯『…どなた様ですか?』 春馬『あ~…執事です。』 スーツ姿の若い男性といきなり戦闘だなんて、颯さんも流石に戸惑うみたいだ。 アパート前で刑事と執事が向かい合うなんて、なかなか異様な光景だ。 フェロー『要するに私は南雲様に負けて差し上げればよろしいのですね。』 春馬『いやそこまで気使う必要ないから。』 何普通にサクラ演じようとしてんだよアンタ。 フェロー『しかし…弁えないようで失礼ですが、私は格闘においては"強者"のそれの一つ上に至っていると自負しております。』 非常に淡々とフェローチェは、遠回しな"余裕"発言をかます。 まぁ実際フェローチェは規格外の人間の動きするのは経験済みなんだよなぁ。 するとフェローチェは颯さんに視線を向け、丁寧に一礼する。 フェロー『では、私を一歩でもここより動かせれたのなら貴方の勝利としましょう。』 颯『……は?』 フェローチェは余裕を通り越して、なんかハンデどころの話じゃないハンデを持ちかけてきた。 炎夏『スッゴい自信じゃん。もう雰囲気で負けてるし。』 春馬『こういうキャラは最強ってのがベタだからな。』 むしろこんな完璧冷徹無表情超人が弱かったらもはやネタだよそれ。
/448ページ

最初のコメントを投稿しよう!