お姫様の哀れな下僕

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颯『は…はっはっはぁ!!ナメられたもんですねぇ!!』 颯さんは怒りを堪えるように無理に笑う。 でも一歩でも動かせばいいわけだし、遠距離攻撃のチキン戦法をとればとりあえず負けはないんじゃ…。 颯『嬢、見ててくださいよ!!俺が華麗に勝利する瞬間を!!』 炎夏『どう負けるのか見物ね~』 すでに颯さんの勝利の可能性は捨てきっている炎夏。 フェローチェは"いつでも来い"と言わんばかりに冷めた瞳で颯さんを見る。 颯『刑事魂なめんじゃねぇぇぇッ!!』 春馬『いや刑事魂関係なくね?』 颯さんはその掛け声と共に地を蹴り、フェローチェへ向かって駆け出した。 かなりのハンデをもらってるのに、あえて接近戦で臨むのは男らしいのか馬鹿なのか。 颯さんはケンカをするかのように腕を振りかぶり、そのままフェローチェへと── 颯『──おぉっ!?』 と、颯さんは奇妙な声を上げたと同時に地面に滑り込むように倒れた。 もちろんフェローチェは表情すら変わらず先程と同じ状態。 なんか分からんけど、さっきの一瞬で颯さんはフェローチェに捌かれたみたいだ。 フェローチェは服についた砂煙を掃うような涼しい動作をし、それとは対称的に── 颯『痛えぇぇぇええッ!?肩折れた、肩折れたぁぁッ!!』 じたばたと地面に転がりながら颯さんは激痛を訴えるように右肩を押さえて喚く。 フェロー『肩を外しただけです。折れてはいませんのでご安心を。』 …肩外しただとぉ!? あの一瞬で貴様は颯さんの肩を外したと言うのかぁ!? 颯さんは肩を押さえながら、もはや立つことすら出来てない。 フェロー『これ以上続けるのであれば構いませんが、どうしますか?』 颯『降参する!!降参するから肩を元に戻してくれぇぇ!!』 フェローチェVS颯さん、普通にフェローチェの勝利。 やっぱりフェローチェは鬼強い鬼畜執事のようだ。 炎夏『首輪つけたげよっか?』 颯『…チクショー…』 しばらく経ち、そこに映るのは膝を抱えた状態で悔しがる颯さん。 そしてそれを見下し颯さんの頭をツンツンする炎夏。 炎夏『実力が…何だったっけ?』 颯『チクショー…ッ!!』 もうこれ以上彼をイジメないであげて。 フェローチェは当然のごとく無表情なまま、颯さんの敗北に対する感心は0なご様子。 春馬『…負けた場合どうなるんだ…?』 炎夏『二度と私がいる大陸に上陸しないって約束するんだったわよね。』 いやそんな話でしたっけ? 颯さんは意気消沈のオーラをしばらく纏い、それから不意に立ち上がる。 颯『俺、射撃の腕は確かですよ!!』 春馬『なんて強い心を持った人なんだ…。』 いい加減諦めたほうがいいと思うけど…。 めげない颯さんはフェローチェに向かってビシッと指を差し、またリベンジする気満々だ。 そんな颯さんを見て、鬱陶しそうにため息を吐く炎夏。 炎夏『ホンっト…そういうのがウザイってのに…。』 春馬『新米の刑事は張り切り過ぎてミスをするってのが相場だからな…。』 フェローチェも心底ダルそうにため息を吐き、片手を颯さんに差し出す。 フェロー『拳銃を拝借してよろしいですか?』 颯『…?何に使う気だ…?』 と不審がりながらも颯さんは腰を探って拳銃らしきものをフェローチェに手渡す。 いや手渡すな。アンタそれでも警察か。
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