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僕「工場長。それで僕は何をすればいいんですか?」
工場長「皆川君。それで彼は何をしたらいいのかね!」
僕「え?それ、皆川くんに聞くの?」
名刺を見せてから今にいたるまでの短いスパンに、彼らの間に何が起きたんだろう。
工場長「当たり前だろう。皆川君は、頼れる近所のお兄さんだぞ?」
そんな時、再度鳴り響く火災警報器!
BGM:ドナドナ
工場長「とにかく火災警報器を確かめに行こう! もし火事にでもなって、雲に引火したら、この山ごと吹っ飛ぶぞ」
その時、僕は見逃さなかった。慌てふためく工場長を尻目にニヤリと笑う皆川くんを……。
皆川くんが僕にささやく。
「人間が作る雲なんて嘘だ。こんな工場はなくなってしまった方がいいと思わないか?」
その瞬間、爆音ともに工場が爆発して、僕たちは初夏の空へ舞い上がった。遥か彼方の山の向こうに、本物の入道雲が起こっているのを僕は見た。
僕と皆川くんの夏は、そんな風にして始まった。
第一部・完
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