序章

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?「ったく…。本当に減らない奴等だな…。」 ?「しょうがねぇだろ。それぐらいしか、こいつらにはねぇんだからさ。」 真っ暗な森の中で響き渡る2つの低い声。 と、風を切るような…これも2つの鋭い音。 ?「で?情報とかあったのか?」 ?「あったら教えてるっつーの。最近…やたら多いからあるかと思ったのにな。」 2つの深い溜め息が木霊し、静かに闇へと消えていった。 ?「…本当にまた逢えるのかよ…。」 ?「約束したからには、ぜってぇ逢う。」 ?「約束…ね…。ま、間違いなく今年は逢えるだろうな。」 ?「だな。帰るか。」 ?「ん。了ー解。」 ゆっくりと歩き始め、森を抜け…温かな月灯りが声の持ち主を照らした。 ?「(…夜空に浮かぶ月は…。)」 ?「(まるでアイツみたい…だな。)」 フ…ッ、と切なそうに、夜空を見上げた2人の口元が歪んだ。 そして… また歩き始めた。
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