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昼だと云うのに、薄暗い闇が支配する路地裏。
そこを全力で抵抗する少女がいた。
ガッ!!
舞「離っ…――っ!」
急に消えてしまった声。その瞳からは"恐怖"しか伝わらない。
…口を塞がれのでない。腕を掴まれいるわけでもない。
?[オ前、呼ビダス為ノ道具。攫エバ奴ガ来ル。]
気味悪い声で囁く人では無い"人物"。
舞「っ…」
声が出ないにも必死に足をバタつかせ、心の中で叫んだ。
(…っ誰か助けて!!)
だけど、それは悲しき願いであって…誰もいない路地裏では尚更無意味な叫びだ。
―…――タンッ…!
舞「?!!」
何かが飛ぶような音が微かに響いた。前後を見ても誰もいない。"人物"も緊張して刃物みたいな爪を構えている。
?「――鈍い奴だ…。」
鋭いような透き通ったソプラノは、私の頭上から聴こえた…──感じがした。
?[!?グワァアッ!!]
ドシャッと豪快な音をたてながら、誘拐した"人物"は地面に倒れた。
?「すまぬ…。怖い思いをさせたな…。」
声は高く女みたいだけど…口調は男みたい。
恐る恐る顔を上げると、蜂蜜みたいな癖っ毛の髪を肩まで伸ばして…髪同様の蜂蜜色の瞳を持った女の人が私を見つめていた。
舞「あ、あなたは「菜乃華。」へ…?」
私が言い終わらない内に、蜂蜜色の髪を靡かせ私と視線を合わせるかのようにしゃがみ込んだ。
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