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年があけてから今日まで自分の中で漢字一文字で表すと『和』だった。
コタツで寝転び、携帯片手にメール。
芸人逹のハイテンションなコントを見て家族と過ごす‥‥‥‥
まさに和みの時間‥‥
残酷な現実をブっ飛ばすには十分な時間だった。
――――しかし、その時間は“あれ”によってぶち壊された‥‥
“あれ”が現われたのは夜の七時ぐらいだ。
“あれ”はゴ〇ブ〇でも期限切れの宝くじのクジでもない‥‥
“あれ”は“水”だった‥‥
濁った茶色の水‥‥
キッチンの棚の隙間から出て来ている‥‥
母がそれに気付き父は水道管を直すと言って長いワイヤーの先にブラシがついたモノを持ってきた。
父は私に「おい。お前も手伝ってくれ」と言う。
私はテレビを消し渋々父のいるキッチンへ行った。
父は排水口からブラシ付きワイヤーを何回も突っ込む。
しばらくしてワイヤーを排水口から取り出すとワイヤーにはネバネバした赤茶色のモノが付着していた。
更にそれは臭いが酷く家族全員に不快感を与えた。
それから何度もしたがそれが尽きることはなく、母が「水道管の業者呼ぶ?」と聞く。
そうすると父は「いや、自分で出来ることは自分でやる。
男ならそうゆうことが出来なくてはいけない」
そう父は根っからの九州男児なのだ。
面倒臭がりの私は業者に頼めばいいじゃんと思いながらネバネバの物体とタタカっていた。
そしてついに父がキッチンのテーブルをどけその下にある床下収納の扉を開けた。
床下は赤い水が溜まりあのネバネバした物体が浮いていて不気味すぎだ。
私は「何するの」と尋ねると九州男児の父は「今から中に入って調べてくる」と言うのだ。
父はスリッパを履き、懐中電灯をしっかり持ち床下へと入っていく。
しばらくして父は慌てて床下から戻って来た。
とおもえばすぐに扉を閉める。
父は赤い水でびしょびしょになっていた。
そして何より気になったのは父の眼だ。
怯えている‥‥
そのすぐ後私の正月を漢字一文字で表すとが『和』から『闘』へ変わった‥‥‥‥
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