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???「君は……"アリス"かい…?」
マリア「いいえ。私はマリアよ」
私はちゃんと答えたが、その姿を見て口を押さえてしまった。
その声の主は、"子供"……ではなく、"子ギツネ"だったからだ。
子ギツネ。と言っても、その姿は一概にはキツネとは言えるものではなかった。
ニ本足で立っていて、手には白い手袋。
ふわふわの尻尾は何故か2本あり、ゆらゆらと左右に揺らしている。
姿は違えどその容姿はあの青い動物を彷彿させるものだった。
???「ああ!!やっぱりアリスだ!!マリアとは、"あちら"の世界の名前か」
またアリス……一体何なの?!
それに……"あちら"?どう意味かしら…?
…………いや!!今はそんなことよりも…!!!
マリア「あっ…あの!!あなたのお名前は?」
テイルス「ぁあ。失礼。
僕の名前はテイルス。二本尾キツネだ」
マリア「二本尾キツネ?」
テイルス「僕の別名。ここの世界のみんなはそう呼んでいる」
マリア「"この世界"って?」
テイルス「そうか……。アリス。君はこちらの世界のことを何も知らないのか…」
マリア「だからそのこちらの世界っていうのは何なの?世界は二つあるの?
それと、私にはマリアっていう素敵な名前があるのよ」
なかなか話してくれないもどかしさと違う名前で呼ばれるいらいらで少し強めの口調で言った。
テイルス「いいや。君はアリスさ。この世界に入ってくることができる人間はアリス以外にいないからね。それを知る人は少ないけど、それがこの世界のルールなんだ。
それと、確かに世界は二つあるよ。一つは君がよく知る世界。もう一つはこの世界。だけど、この世界については僕の口から君に教えることはできない。それも、この世界のルールだからね」
マリア「………………」
ぁあ!!意味が分からないわ!!!
もうこの世界のことはこの子に聞いても無駄みたいね…。
だってどうせルールと言って終わってしまうもの。
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