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4、5歳の子供が数人、場内を走り回りだした。
オイオイオイ親は何やってんだよ。
CMくらいで飽きちゃう子供ならDVDまで待ってろよ、とか思いつつ子供を気にするが、俺以外の人はあんま気にしてないようなので俺も華麗にスルー。
本編が始まっても子供笑い声と走る声は止まらない。
いい加減誰か怒れよと思いながらも自分は黙って画面を見ていた。
そのうちはしゃいだ子供が画面の前にまで出てくるようになりやがった。
流石にこれは聴講室の係員が注意にくるだろうと内心笑ったがその気配はない。
サボってんじゃねーぞと舌打ちしかけて自分の目を疑った。
スクリーン前に子供が立っても映像に影が出来ないのだ。
子供は確かに映像と光の間で飛んだり跳ねたりしているのに。
あれ?これもしかしてアレですか?
暖房で暑いほどになっているはずの場内で1人寒気を伴う汗びっしょりになる俺。
隣のバイトの女子高生は画面に釘付け(もちろん映画本編に)で好きな役が出るたびに、隣のMの連れ女子高生に「可愛いですよねー」なんて言ってる。
見えてないのは確実だ。Mの連れのほうも相槌を打ったりしてるくらいで本編に夢中。
Mも見えない上にここで怖いからって助けを求めたら俺かっこ悪い。
子供だし!そうだよ例え他の人に見えてなくても映画館で騒ぐ子供くらいいるさ!
そう言い聞かせて前を向き直った俺は情けなくも悲鳴をあげそうになった。
というかチビりそうになった。
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