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俺が高槻郷司と出くわしたのは、高校入学が決定し、受験勉強からの開放感から遊び浮かれていたある日の事であった。
彼は良くも悪くも噂が絶えることの無い人物だったから、人の名前を顔と覚えるのが苦手なこの俺でもある程度のことは知っていた。
高槻郷司は、周囲からいわゆる不良のレッテルを貼られている。
喧嘩はもちろん、値段以下の不味い飯を食わせる店に金を払わないなんてのもしょっちゅうらしい。
それだけならただの不良なのだが、彼の場合は多少事情が特殊であった。
先に述べたとおり喧嘩の常習犯である高槻は、常習犯であるが故に当然よく喧嘩をする。
いや、喧嘩をよくするから常習犯なのだがまぁ今はどうでもいい。
とにかく、その強さが尋常ではない。
喧嘩をする度に彼は相手を全員完膚なきまでに叩きのめし、多くの不良少年達に多大なトラウマを植え付け続けている。
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