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今の季節は冬。
うっすらと太陽が昇る頃、誰もいない道を青年が一人。
何やらブツブツと独り言を言いながら歩いている。
「ったく、あいつは俺をなんだと思ってんだ!まったく!なんだってこれから…」
この青年こそこの本の主人公
―――相良嵐である。
時間は数時間前に遡る―――。
『ピンポ~ンピンポ~ン♪』
まだ朝の4時前。
辺りが静寂に包まれている中、相良家の玄関のチャイムが鳴り響いた。
そしてしばらくすると、
『ガチャガチャ』
と言う音ともに玄関の鍵が開く音がすると同時に、
『ドカドカ』
と大きな音をたてて階段を上る音が家中に鳴り響く。
そして、その足音の主は二階の嵐の部屋の前で止まり、勢いよくドアを開けて、
「嵐!!!!起きて!!!!」
と、嵐の耳元で声の限り叫んだ。
その声を聞きつけ声の主の元に駆けつけてきた人物が一人―――相良家の長男、相良海斗である。
「姫、どうしたのです?こんなに朝早くから・・・」
早朝からの訪問者というより侵入者は、海斗に“姫”と呼ばれ振り向いた。
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