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それから数ヶ月後。
私は毎晩のように同じ夢をみるようになった。
私が殺される夢を。
そいつは、いつも私の姿を探している。
そして、私の姿をみつけると、笑顔で私を殺す。
何度も。
何度も。
私を殺す。
そんなこと、させるものか。
殺される前に殺してやる。
殺してやる
殺してやる
殺してやる
殺してやる
殺してやる
殺してやる
殺してやる
いつもと同じ夢の中。
私は叫ぶ。
殺してやる!
目と目が合った。
そこにいたのは『私』だった。
紛れも無い『私』自身。
『私』がポケットの中に手をやる。
そして
左胸に衝撃が走った。
ナイフの刺さった、確かな手応えが。
あの日、私が殺したのは、私?
薄れいく意識の中でぼんやりと考える。
私を殺したかったのも、私?
ぼやけていく視界の端に両手を握りしめ、歪んだ笑顔の私が映った。
なぁんだ。
私の口から笑みがこぼれる。
私が殺したかったのは、私だったのか。
これでやっと、ぐっすり眠れる。
死の間際、私は初めて安堵した。
これでもう私を脅かすものはないのだ、と。
おわり
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