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その笑みは、なんとも鬼畜な妖笑だ。
「あ、コレ。お代です」
僕はそういいながら、かなとか言う人にお代を渡した。
「あれ?なんか意外。払わないと思ってたわ」
………最初とまったくキャラが違いますよ。
「僕、一応京の治安を守る正義の味方なんで」
「ふーん。アンタ新撰組なの?名前は?」
僕からお代を奪い取ると偉そうに言う、かなとか言う人。
「貴女、礼儀がなってないですねぇ…名前を聞くなら自分から名乗りあげる……母上や父上に教わりませんでしたか?」
「生憎あたしの母と父は、早くに他界しちゃってね~。すーいーまーせーんー」
……まったく、
本当に一々ムカつく人だ。
「……かなちゃーん!渡してくれ……た……」
いきなり、桜子さんの段々小さくなっていく声が聞こえ、ビクンと反応してしまう。
桜子さんごときでこんなに敏感になるなんて……悔しい。
「どうしたの?桜子ちゃん?」
つい先程までとは別人のように桜子さんに話かける、かな(略)。
でも、そんなの相手にしてる暇はない。
――――逃げなくちゃ。
そんな言葉が頭を駆け巡った。
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