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男には恐怖心などなかった。
ヤツにはできない、俺は殺せないと信じていたから…
だから、喉元にナイフが突き刺さって驚いた。
「え…?」
そのまま絶命し、ばたりと倒れ込む。
遥は、男に向けて、ナイフを投げつけたのだった。
「殺した…俺が…」
その事実が、胸に突き刺さる。
幸い吐き気はしなかった。
死体に慣れてしまったのだ。
「俺が…殺した…」
自分がしたことは、奴らと同じなのではないか…?
人間を殺す罪の重さが遥を襲った。
だがしかし、同時に思う…
殺さなければ殺されていた…と。
「そうだ…仕方なかったんだ…」
言い訳だと分かっていた…だがそう思わなければ、自分が崩れてしまいそうだった。
3日で奪われた…友人も家族も…
そう、これは、仕方ないことだ。
奪われた未来を取り返すための仕方ない行為だ。
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