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“生”を求めて必死に…
パーンと、一発の銃声がして、悲鳴は止んだ。
あ…と遥は思う。思うだけだ。何も感じない。
この3日であまりにも地獄を見すぎてしまい、感覚がおかしくなっているのだ…
そう分かっていても自己嫌悪してしまう。
もしかしたら、考えたくもないことなのだが、もし大切な人を殺されたとしても何も感じないのではないか…
そう思うと怖かった。
自分が悪魔になったような気がして…
また遠くで、悲鳴がして、銃声がする。
「生きたいと叫ぶ命の花をまた1つ摘んだ…か」
一歩、また一歩とこちらに近付いてくる足音…
彼らの足音を聞く度に、自分の命の時間が失われていっている気がする。
こちらに気付き、足早になる。
遥は目を開け、走り出した。
死の鬼ごっこがまた始まる。
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