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翌日。
「あのさ、2人とも。ちょっとお願いがあるんだけど」
放課後、ダーツ部に顔を出すなり、アキラは少し申し訳なさそうな顔でそう言った。
「どーした、アキラ? 急にそんなおとなしくなると気味が悪いぞ」
そう答えたのは、パイプ椅子に陣取った慶太だ。
「慶太は普段から気味悪いけどな」
翼は慶太のセリフに茶々を入れつつ、的に向かってダーツを投げる。ど真ん中。
「うっせぇ! で、なんだよアキラ?」
慶太が先を促すと、アキラは自分の後ろに隠れるようにして立っていた少女を、部屋の中に招き入れた。
入ってきたのは、綺麗な黒髪を肩まで伸ばした、おしとやかそうな女の子だ。
「あ、ゆかりちゃんじゃん。久しぶり」
慶太の軽い挨拶に、彼女は丁寧にペコリとお辞儀を返す。
彼女の名前は西田ゆかり。翼たちと同じ南乃宮高校の2年生で、アキラとは1年ほど前から付き合っている。
アキラと一緒にダーツ部に遊びに来ることも度々あるので、翼や慶太とも知り合いだ。
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