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話を聞いてみると、どうやらお願いがあるのはアキラではなく、ゆかりの方らしい。
「２人とも、私が猫を飼ってるのは知ってますよね？」
ゆかりの言葉に、翼は以前写メで見せてもらった黒猫の姿を思い出す。
混じりけのない黒１００％の毛並みに赤い首輪。猫の割には人懐っこい性格だと聞かされた。
「うん、覚えてるよ。その猫がどうかした？」
「実は……そのクロ、家出しちゃったんです」
ゆかりの話を要約すると、こういうことらしい。
ゆかりが飼っている黒猫のクロが、数日前に家出。
クロは今まで家出どころか、家の庭にも出ようとしない室内猫で、今回の家出はとても意外だったという。
心配していてもたってもいられなくなったゆかりは、南乃宮を闇雲に探し回ったが、当然見つかるはずもなく、ゆかりは途方にくれていた。
そんなある日、友達がゆかりに、クロを見かけたと教えてくれたのだ。
「ただ、場所が場所でさぁ…」
話を引き継いだアキラは、困った風に肩をすくめて見せた。
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