不動

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 彼女は視線を床に落とし、固まってしまった。 「誰かに……そのー、絡まれたり、とか?」  聞いた途端、愛染は真っ赤になった。どうやら俺は、彼女の触れてはならぬ記憶を呼び覚ましてしまったらしい。 「ご、ごめんな愛染! 地蔵界の神々は気長な御仁が多いから、おいおいそのうちで構わないからな、それじゃ」  気の利いた言葉も思いつかず、居辛いことこの上ない。俺は早々に愛染の館を退散した……
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