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ひらひらひら…。
残り少ない桜が舞い散ってゆく。
学校の片隅に一人ぼっちで佇む、
その桜の下に――…
一人の少女がいた。
『キレイ…。
これが…二人の桜…?』
ぽつりと呟き
仰向けにした掌に、一枚花びらが舞い降りた。
『…寂しいな…』
散ってゆくその儚さを噛みしめる。
それはまるで儚く散った二人の恋のようで。
“幸せそうに笑うあなたが大好き”
一人の少女が遺した言葉。
手紙に書かれたこの言葉を…
確認するかのように何度も読み返す。
『智也……さん』
ひらひら…
桃色の花びらはもうじき散ってなくなる。
そして…
桜が散り、緑の葉が一面に広がって
そしてまた、キレイな桜を咲かせる。
――そう、それは始まり。
緑がやがて色づき…
幸せ色の恋をまた降らせるのです。
『智也さん…
どんな人だろう…
――早く逢いたいな…』
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