~第一話~

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『――ここでこの方程式を…‥』 数学の時間。 俺は窓からの景色をぼ~っと眺めていた。 授業の内容なんて全く耳に入らなくて。 『…葉月…』 ただ、もういない愛しい人の事だけをずっと考えてた。 『……智也くん』 『…?』 完全にトリップしてた俺は、 誰かの呼ぶ声で目が覚めた。 何十分かぶりに窓から視線を反らせば… そこにはもう先生の姿はなくて。 代わりにこちらを悲しげに見つめる葉月の親友、優奈の姿。 『…もう授業、終わったよ?』 『…あぁ』 それだけ呟いて、がたんと席を立った。 『っ、待って』 すかさず優奈が俺の腕を掴む。 『……なに?』 『どこ行くの?』 『……トイレ、だけど?』
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