~第一話~

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『――そっか…』 安心したようにため息をついた優奈の腕がするりとすべり落ちる。 『…心配しなくても、もう馬鹿な真似はしねぇから』 そんな優奈に少し微笑って言う。 すると優奈はぷく、と頬を膨らませた。 『わかんないじゃん。 智也くんずっと死んだような目してるんだもんっ…』 『はは、 死んでねー』 『目が死んでるのっ』 『はいはい』 優奈の頭にぽんと手を乗せ、軽くあしらう。 そしてそのまま教室の出口へと足を運ぼうとしたら… 『あ、智也くん!』 慌てたように名前を呼ばれ。 『漏れるから、話なら後でな』 それすらも軽くあしらって、俺は教室から出た。 ――数日前。 葉月がいなくなった日。 俺はそのまま自分の命を絶とうとした。 だって、葉月がいないと生きていけねぇんだから。 …それが当たり前だと思ったんだ。 そしたら、直と優奈に全力で止められた。 止められたと思ったら、大声で怒鳴られて… ――そこで、初めて自分が間違ってた事に気づいたんだ。 幸せにならなくちゃ。 幸せになるんだ。 …葉月の分まで。 俺達の桜の下でそう心に誓った。
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