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――コン、コン。
『…?』
もたれかかった扉に、小さなノック音。
俺はゆっくり顔を上げた。
『…おい、長便野郎。
いつまでトイレ占領してるつもりだよ』
その声は聞き覚えがある声で。
『………直』
そう、葉月の幼なじみの直だ。
『早く開けろ。
もう放課後だぞ』
早く開けないと鞄トイレに流すぞー、なんて冗談めいた言葉が続けて聞こえてきた。
…それは困る。
瞬時に判断した俺はすぐに扉を開けた。
すると、すぐ目の前にある直の顔。
少しだけ驚いた。
『わ…ひでー顔』
…人の顔をじろじろと見た挙句、第一声がそれか?
『悪かったな。
元々のつくりが悪いんだよ』
視線を反らしながら
嫌みたらしくそう言ってやったら…
『ははっ、違ぇねー』
…笑ってそう言いやがった。
オイコラ、そこは否定しやがれ。
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