~第二話~

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――コン、コン。 『…?』 もたれかかった扉に、小さなノック音。 俺はゆっくり顔を上げた。 『…おい、長便野郎。 いつまでトイレ占領してるつもりだよ』 その声は聞き覚えがある声で。 『………直』 そう、葉月の幼なじみの直だ。 『早く開けろ。 もう放課後だぞ』 早く開けないと鞄トイレに流すぞー、なんて冗談めいた言葉が続けて聞こえてきた。 …それは困る。 瞬時に判断した俺はすぐに扉を開けた。 すると、すぐ目の前にある直の顔。 少しだけ驚いた。 『わ…ひでー顔』 …人の顔をじろじろと見た挙句、第一声がそれか? 『悪かったな。 元々のつくりが悪いんだよ』 視線を反らしながら 嫌みたらしくそう言ってやったら… 『ははっ、違ぇねー』 …笑ってそう言いやがった。 オイコラ、そこは否定しやがれ。
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