59人が本棚に入れています
本棚に追加
少女は手を引かれ、花畑の真ん中、娘の傍に座った。
娘は手近な花を一輪摘んで、少女に差し出す。小さな白い花弁がの可愛らしい花だった。
「 ありがとう 」
受け取ってすぐ、花独特の甘い香りが少女の鼻孔を擽った。
少女の顔が綻ぶのを見て、娘もまた微笑んだ。
娘の歌が止んだことに気付いたのか、再び風が、ざわざわと木々を揺らしはじめた。
「 あの、 」
その風に急かされるように、少女は口を開いた。
「 此処は何処、って、尋ねたいのでしょう? 」
その通りだ。
先を越されてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!