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「 どうして分かったの? 」
「 だって貴女は《旅人》だもの 」
答えになっていない。
少女は更に質問しようとし、娘は何か思い出したように胸の前でぱちんと手を叩いた。
「 自己紹介から始めるべきよね? 私はミーナ。4つある《存在》の一つ、《世界を創る歌姫》よ」
はぁ、とだけ少女は返した。
彼女の名前がミーナであることは分かったが、その後が分からない。
確かにあの声を操れるなら、歌姫という呼び名が付いても不思議では無いけれど。
世界を創る、なんて、随分と仰々しいと思った。
「 貴女のお名前は? 」
尋ねられて、少女は押し黙る。
ミーナはきちんと名乗ってくれたけれど、少女にはそれができない。
自分の名が分からなかった。
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