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「 肝心なことを言っておくわね。これは決して、貴女の見ている夢などでは無いということ。貴女が自分の意志で行動しない限り、元の世界に戻ることは無いわ 」
ミーナの顔は常に穏やかなほほ笑みに彩られている。
語る声音はぴんと張り詰め、それは高尚な弦楽器のように優美な響きを持っていた。
きっとミーナにとって、歌うも語るも、同じことなのだ。
例えそれが取り留めのない口ずさみであろうと、その声はその音を、最高級の音楽に仕立てあげる。
「 この世界には私のような者が4人いるわ。私達は《存在》と呼ばれ、それぞれが与えられた《役目》を持っている。例えば私なら、貴女のような《旅人》に、まず何をするべきかを教え、これからどうするべきかを導き、時にその手伝いをすること 」
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