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ここはどこだろう、と、少女はぼんやり考えていた。
見上げれば、青い空と白い雲。
穏やかな風が流れている。
座り込んでいる地面は一面を柔らかい芝生が覆い、露出した太股を撫でた。
――夢なら、早く覚めればいい。
曖昧だった意識が徐々に覚醒してくると、少女は漠然にそんなことを思った。
ふらり立ち上がると視界に飛び込むのは、真っ平らな草原が延々と続く風景。
見渡す限り、何もない。
どこまで進もうと、自分以外の何かに出会える気はしなかった。
でも。
取り敢えず、どこかに行こう。
立ち止まっていては、何も始まらないから。
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